豊田市こども発達センター交流活動(ボランティア)

 今年度も、夏休み期間の11日間を利用して、医療・相談・保育などの総合的な療育施設である豊田市こども発達センター「ひまわり」「こども広場」「たんぽぽ」での交流活動・ボランティア活動が行われました。参加したのは、保育・福祉・看護医療・教員など特別支援教育への進路を希望する生徒59名です。

 この活動は生徒たちが発達に支援が必要な子どもやその支援の現状を学んで理解を深め、また、センターの役割や職員の仕事を知り、自身の進路を考える貴重な機会となっています。「ひまわり」は、ことばや対人関係の発達に支援の必要な就学前の子どもたちが通園しており、生徒たちは一人ずつクラスに入り、子どもたちの身支度や着替えのお世話、室内遊びや水遊びを一緒に行いました。
 最初は不安な気持ちを抱えていた生徒たちも、支援員の方の丁寧な助言のおかげで充実した時間を過ごすことができました。また、療育に訪れる子どもたちの兄弟姉妹を預かる「こども広場」では、まだ1歳にも満たない小さな赤ちゃんを抱っこしたり、遊び相手となったり、おやつのお世話やおむつ交換をしたりしました。よくこども広場に来ているボランティアの方たちとの会話も生徒たちにはとても有意義なものとなりました。

 また今年度は、身体や手足の運動機能の発達に支援が必要な子どもたちが通園する「たんぽぽ」の夏祭りのお手伝いにも参加しました。子どもたちが楽しめるような工夫があちこちに見られ、生徒たちは支援員の方の愛情あふれる子どもたちとの関わり方を、直接学ぶことができました。
 活動後に、希望生徒は診療部門である「のぞみ診療所」の見学もさせていただきました。看護師さんの案内で、日頃見ることの少ない小児歯科や心理療法などを行う部屋を見せていただき、さまざまな形で子どもや保護者の支援を行う体制が整えられていることを学びました。

以下、参加した生徒の感想です。

 2日間参加しました。1日目のこども広場では5人の子どもがいて、東高生が1人ずつ付くという形だったのですが、1対1でもその子がどうしたいか、何をすればいいのかわからなかったけれど、普段保育士の方は1人で3人ぐらいの子どもを見て一緒に過ごしていると考えると、保育士になるにはこの倍の注意力・判断力がいると思いました。保育の仕事の大変さを理解できました。2日目のひまわりでは、言葉を伝えることが苦手な子や、大きい音を聞くと走り出してしまう子がいました。そういう時でも、その子は何かを私たちに伝えるために話しているので、できるだけ気持ちを受け取って行動することが大切だと感じました。ひまわりの先生たちは、子どもたちが何を考えているか、何をしたいのか、などを考えながら接していると気づきました。2日間という短い時間の中で、将来自分は何をできる保育士・幼稚園教諭になりたいのかを考えることができました。(保育プラン2年)

 今回私は活動に参加して、楽しく多くのことを学びました。ひまわりでは、初めに担任の先生とのミーティングで子どもたちの話を聞き、今までSNSの動画でしか知らなかった、自閉症についての特徴を学ぶことができました。保育園のボランティアに行ったことがありますが、そことは子どもたちとの関わり方が違っていました。子ども一人一人に先生たちが分担して付き、朝の支度を一緒に行ったり、手をつないで移動したり、また、教室から飛び出してしまう子に対してドアの工夫がされていたり、はじめは、自分はどう動いて何を手伝ったらよいのかわかりませんでした。ですが、先生が優しく声をかけてくださったり、素直に一緒に準備をしてくれるぞう組さんのおかげで、時間がたつにつれ、みんなと楽しくプールやボールで遊んだり、お話をすることができたと思います。実際に先生の子どもへの対応を見て、私も視野を広げる必要があるなと思いました。一日の予定を写真付きのカードを使い確認していたり、プールで水を飲んでしまっている子に対しすぐに駆け付け他のおもちゃで気をそらしている様子を見ました。落ち着いて座っているのが苦手という子にも、短い時間で説明するなど、子どもたちの性格や特徴を理解し、先を見て動いていたところから、相手のことをしっかりと理解した上でどんなサポートが必要とされているかを考えることが大事なのかなと思いました。この施設は、職員の方が、どうしたら子どもたちが安全に楽しく過ごすことができるのか考えられている温かいところだと、ボランティアに参加してわかりました。とても楽しくて、いい経験になりました。(看護プラン2年)

 以前から子どもに関わる仕事がしたいと思っていて、今回初めて障がいがある子どもたちと関わってみて、先生たちの行動や対応の仕方を、あらためてすごいと思いました。子ども一人一人の性格や、その子が昨日何をしていたかまで覚えていて、私が想像していたよりも大変そうなお仕事でした。しかし、その子が何かできた時、何かを言えた時に、私までうれしい気持ちになりました。障がいがある子と一緒に遊んだり、話したりするのは最初は難しいけれど、それでもあきらめずに続けていくのが大切なんだなとわかりました。そして、将来「保育士」についてしか考えていなかったけれど、今回行った発達センターのような場所でお仕事をするのもいいなと思うようになりました。将来について考える時間はまだたくさんあるので、これを機にしっかり考えてみたいと思います。また、今回初めて発達センターでの体験をしてみて、一人の子について知っているだけではだめだということに気づきました。その子が昨日何をしたか、何が好きかをしっかり知っていないと、今日何ができたかがわからなくなってしまうとわかりました。そのためにも、観察力や洞察力が必要だと思うので、高校生のうちから周りをよく見ることを心掛けていきたいなと思うようになりました。(文プラン2年)

 ひまわり・こども広場・たんぽぽ全ての活動に参加させてもらいました。ひまわりは子どもたちのお世話をしたり、一緒に遊んだりと、まるで保育園のような場所でした。でも、それぞれの子には、障がいがあったり、少し接し方が難しい子がいました。私が先生からお願いされた子も、そうではない子も、みんなにこにこでしゃべったり、ちょっかいかけると笑ってくれるので、もともと福祉関連で進路を考えていましたが、子どもたちと関わる職業に魅力を感じ、より明確に進路を考えるきっかけになりました。

 ひまわり・こども広場・たんぽぽの子どもたちと交流して、テンプレのようにうまくいくこともないし、なかなか心を開いてくれなかったり、子どもたちの性格によって振り回されることもあったけれど、にこにこ笑顔で返事してくれたり、私のところに来てくれたり、ご家族から「ありがとう」と言われてたくさんのやりがいを感じる職業だなとわかりました。性格も障がいの種類も重さも違ってくるので、その子に合ったサポートを考えて動かなければなりません。先生が子どもの話をするときに愛おしそうに説明してくれたり、子どもたちも先生のことを大好きなんだなって信頼が見えるのがすごくいいなって気づきました。(文プラン2年)

 私はひまわりのぞう組に入りました。まず最初に担当の先生から「どうしたらいいかわからなくなることもあると思うけど、この子たちの意思がちゃんとあるから、全部やってあげるんじゃなくて、意思を尊重しながらサポートしてあげてね」という言葉をいただきました。少し緊張しながらも活動が始まり、ぞう組の子たちをバスまで迎えに行きました。教室に行くときに「手をつないで歩こうか」と言うと優しく握ってくれてとてもうれしくなり、今日はたくさん学ぼうという気持ちになりました。一緒に水遊びをしたり、着替えを手伝ったりしているうちに少しずつ慣れていき、子どもたちも心を開いてくれたようでした。活動前は、しっかりサポートしていくという気持ちが強くありましたが、気づいた時には一緒になって楽しんでいました。そして、やはり自分は子どもと関わることが好きで、自身の幸せでもあるから、将来も子どもと関わる仕事をしたいのだと改めて実感しました。(調理・栄養プラン3年)

 昨年も参加をし、今回が2回目の参加でした。昨年と同じクラス、同じ担任の先生でしたが、子どもたちのメンバーは変わっており、今年もいろいろなことが学べました。私が担当したクラスの子どもたちはダウン症と自閉症がある子どもたちでした。私は今回参加するまで、自閉症=うまくしゃべれない・自分の意思を伝えることが苦手、だと思っていました。けれど、実際交流してみると、普通に話をすることができたり、話すことが苦手な子は体を使ったり声に出したりして先生や私に教えてくれました。自閉症にはさまざまな特性があることがわかりました。終わりの挨拶をする際、園長先生のお話を聞く機会があり、「障がいがあると言っても遊んでいる様子を見ると普通の子どもみたいでしょ」とおっしゃっており、本当にその通りだなと思いました。高校でのボランティアは今年で終わってしまいますが、来年は実習生として障がいのある子と関わっていきたいです。(福祉・健康プラン3年)

 去年自分の中でいちばんやりがいを感じ、楽しかったひまわりに、今年は2日間参加しました。ひつじ組さんはなかなか気持ちを言葉で表現することが難しい子たちで、去年よりも特に表情や行動に目を向け、アイコンタクトや、返答がなくても声をかけてあげることで、少しずつ距離を縮められた気がしてうれしかったです。偏食の子や、じっと座っているのが苦手な子、音に敏感な子など、様々な子がいる中で、その子に合わせて対応するのが難しかったです。言葉でもコミュニケーションが難しい分工夫が必要だったけど、楽しいときはニコニコ笑ってくれたり、嫌な時は顔をしかめたり、子どもの行動をしっかり見て、変化や好き嫌いを感じ取っていくことが大切だと思いました。自分の進路にも迷っている中で、インタビューや体験を行い、これまでの実習やボランティアとはまた違った工夫が必要となってくる療育施設は、難しいからこそのやりがいが見つけられ、三者三様な対応を考えて、それをきっかけに成長していく姿を見届けられるところにやりがいと楽しさを感じました。これからの実習やボランティアにも、今回の経験を生かしていきたいと思います。(保育プラン3年)