TOPICS

第3回おすすめブックコンテストで大賞受賞!

第3回おすすめブックコンテストで大賞受賞! 本校は毎年、様々な読書感想文コンクールに複数の入賞者を輩出しています。今年度は学校設定科目「文学研究」の授業において取り組んだ文章を「おすすめブックコンテスト」(明光義塾主催)に応募した結果、羽場世志莉さん(3年生)の「歯車」(芥川龍之介)を紹介した作品が見事、大賞に選ばれました。審査委員長は直木賞受賞作家の北村薫氏で、9000点近くの応募作品の中から4作品が大賞となり、10月26日(日)には東京で開催された表彰式に招待されました。副賞は家族とペアで「世界遺産感動の旅」とのことです。
 羽場さんは日頃から読書に親しみ、図書館を活用してくれていましたので、このようなすばらしい結果が得られたことは図書館としても大変喜ばしく意義深いことでした。今後も多くの生徒たちが今回の受賞を励みとして活躍してくれることを期待しています。
 審査員の講評と受賞作品を以下に掲載しておきます。(※掲載作文を無断で転用・転載することを禁じます。)

 審査員の講評

 印象的な表題・引き込まれる書き出し・精緻な構成・洗練された表現・鮮やかな収束、どの要素をとってみても秀逸です。題材が芥川龍之介の遺稿ですから、背景と内容から鑑みて、凡庸な捉え方ではおすすめ文として成立しません。ところが、「地獄の探し方」は、本の魅力を余すところ無く伝えています。純粋に読んでみたいと思い、期待と覚悟をもって本を手にしたくなります。まさに大賞にふさわしい珠玉の一品でした。

 受賞作品

「地獄の探し方」  羽場 世志莉(3年生)
 
 己にとっての地獄とは“何”だろう。
 こんな問いかけ、されたことないのでは?
 芥川龍之介にとって地獄とは一体何なのか、本当の意味で地獄を見つけてしまった、彼の末路は。
 今、少しでも興味の湧いた人は、是非、歯車を手にとってみてほしい。きっと彼の狂った人生にも興味が湧いてくるはず。
 三十五歳という若さで自ら命を絶った彼は、病気の最中、遺稿という形でこの作品を書き上げた。しかし、題名にもなっており、作中に登場する“歯車”。これは彼の病気による幻覚を表しているようだが、まるで主人公の目の前にあるかの如くその歯車が噛み合うように、彼の人生は“地獄よりも地獄のような人生”へと向かっていくのである。
 誰かに読んでもらいたい!と思うならば、最初の文章を伝えるべきなのかもしれない。しかし、私はあえて最後の一節を知った上で読んでもらいたい、と思う。
 「僕はもうこの先を書きつづける力を持っていない。こう云う気もちの中に生きているものは何とも言われない苦痛である。
 誰か僕の眠っているうちにそっと絞め殺してくれるものはないか?」
 一体何が彼をここまで狂わしたのか。
 全てを読んでわかるかどうか、はっきり言えば、わからないだろう。
 それでも私は、人生で一度は読んでほしいと思う。同時に、己にとっての地獄とは何なのか、考えてほしい。
 人間の汚さ、裏、本質、感情と露骨に描く彼の文章の不気味さを、死にゆく彼の最後の想いを、感じてほしい。
 そして、じわじわと、主人公と同時に自分が絞め上げられていく、他人の死に際を見る覚悟があるならば。
 彼の地獄について、自分の地獄について、一緒に考えられるだろう。
 きっと、人生でたった一度の貴重な時間となるはず。
 己にとっての地獄とは“何”だろう。
 あとは、覚悟をもって本を手に取るだけ。

≪ TOPICS一覧へ